MRI (magnetic resonance imaging)について

〇MRIの特徴
CTより詳細な脳の状態を把握できます。
脳実質以外にも神経や血管を描写できます。

〇MRIの原理
人間の体のほとんどが水で構成されています。MRIは簡単に言うと、水に含まれる水素(H)の濃度を画像化していると言えます。

〇色調の表現
脳実質より黒く写る・・・低信号域
脳実質より白く写る・・・高信号域  と呼びます。

〇MRIの種類
脳梗塞や脳出血、急性、陳旧性など病態に合わせて、
それぞれ適したMRIの取り方の種類があります。



〇MRIの各画像の見方

T1強調画像(T1 weighted image:T1WI
T1

T1WIではHが多い、つまり水は黒く低信号で検出されます。そのため脳室は黒く写ります。
T1WIでは、一般的に脳梗塞などの病変の検出には使用しません。大脳皮質や骨など解剖的な構造を見るときに使用されます。
T1WIでは、水→脳灰白質→脳白質→筋肉→脂肪の順に白く写っていきます。
脳画像では脳細胞は黒、神経線維は脂肪で覆われているので白く描出されやすくなります。

②T2
強調画像(T2 weighted image:T2WI

t2強調
T1WIとは逆に、水は白く高信号で描出されます。
脳梗塞などの検出に有用ですが、
T2WIで特徴的なのは、血管や神経が描出されることです。
T2では、水⇒脂肪⇒脳灰白質⇒脳白質⇒筋肉の順に白く写っていきます。

脳梗塞…超急性期の検出不可。急性期、陳旧性病変とも高信号域として検出されます。
脳出血…急性期出血では低信号を示し、出血周囲の浮腫は高信号を呈します。


③T2
*強調画像:T2 star weighted image (T2*WI)
T2staree
脳出血の検出に優れています。陳旧性脳出血も検出できます。

脳梗塞…急性期は高信号として写ります。
脳出血…急性期、陳旧性とも低信号として写ります。



④拡散強調画像:Diffusion weighted image(DWI

DWI
水分子の拡散運動を画像化したものです。つまり水の流れが悪かったり(脳梗塞)、細胞がむくんだり(脳浮腫、細胞が密集していたり(膿、リンパ腫)、脳挫傷などに検出に使用します。
一般的に急性期脳梗塞の検出に優れています。

脳梗塞…超急性期脳梗塞では神経細胞の浮腫が起こり、細胞外液が細胞内に移行し拡散が低下するため、高信号として描出されます。陳旧性は低信号として写ります。
脳出血…急性期出血では低信号を示し、出血周囲の浮腫は高信号となる。



⑤水抑制画像(Fluid Attenuated Inversion Recovery : FLAIR) 

flair2
FLAIR画像は水の信号を抑制したT2強調画像です。つまり、T2画像から水=髄液のみを黒くしたものがFLAIRとなります。
脳室が黒く写り、脳梗塞のみ高信号で表示されるため病巣が明瞭。特に脳室や脳溝付近などの病巣が明瞭に描出されます。脳梗塞の検出に適し、さらに急性期、慢性期の判別も分かりやすいです。


脳梗塞…超急性期は検出不可。急性期は高信号、慢性期は低信号として写ります。
脳出血…陳旧性では低信号となります。



⑥拡散係数画像(
ADC
ADC
 DWI
の色調を逆にしたものです。DWIで描出された急性期脳梗塞と病巣が一致していれば、アーチファクトなどの可能性を除外し確定診断になりやすくなります。

脳梗塞…急性期では低信号を示します。
脳出血…急性期では低信号、出血周囲の浮腫は高信号を示します。

〇用語
前:anterior
後:posterior
上:superior
下:inferior

外側:lateral
中央:medial
頭側:rostral
尾側:caudal
腹側:ventral
背側:dorsal

水平断:axial
冠状断:coronal
矢状断:sagittal